神奈川県の名湯であり、多くの文豪に愛された街「湯河原町(ゆがわらまち)」。
箱根や熱海という大人気観光地に挟まれながらも、独自の落ち着いた情緒と豊かな自然を保ち続けている大人の隠れ家的な温泉郷です。その魅力をいくつかの切り口でご紹介します。
万葉の時代から続く「名湯」の歴史
湯河原温泉の歴史は非常に古く、万葉集の中で「足柄の 土肥の河内に出づる湯の…」と、東国唯一の温泉地として詠まれているほどです。
泉質は「弱アルカリ性低張性高温泉」が中心で、肌に優しく、芯から体が温まるのが特徴。古くから「傷の湯」とも呼ばれ、日露戦争時には傷病兵の療養地としても指定されました。
📌 主要な温泉スポット
- 万葉公園(湯河原惣湯):緑豊かな渓流沿いに広がる公園。敷地内の「湯河原惣湯 Terrace」では、源泉かけ流しの温泉と食事、読書を静かに楽しむ上質な時間を過ごせます。
- こごめの湯:万葉公園のすぐ近くにある町営の日帰り温泉施設。気軽に名湯を堪能できます。
文豪たちが愛した「創作の街」
湯河原は、東京からのアクセスが良く静かな環境であることから、明治から昭和にかけて多くの文豪や画家が滞在しました。
- 夏目漱石:絶筆となった『明暗』を湯河原の旅館「天野屋」で執筆。
- 芥川龍之介:短編『トロッコ』は、湯河原(当時の軽便鉄道の工事)が舞台。
- 谷崎潤一郎・島崎藤村・国木田独歩など、そうそうたる顔ぶれがこの地に逗留しました。
豆知識:
国木田独歩の碑が立つ「万葉公園」をはじめ、街のいたるところに文豪たちの足跡や文学碑が残されており、散策するだけで歴史のロマンを感じることができます。
四季折々の「豊かな自然」とイベント
海と山に囲まれた湯河原は、1年を通じて美しい自然のグラデーションを楽しめます。
| 季節 | 見どころ・イベント | 特徴 |
| 春 | 湯河原梅林(幕山公園) | 2月上旬〜3月中旬にかけて、約4,000本の紅白の梅が幕山の岩肌を背景に咲き誇ります。 |
| 夏 | 湯河原やっさまつり・海上花火大会 | 8月に開催される熱気あふれるお祭り。海岸から打ち上がる花火が夏を彩ります。 |
| 秋 | 奥湯河原の紅葉 | 関東屈指の紅葉の名所。渓谷沿いが鮮やかな赤や黄色に染まります。 |
| 冬 | みかん狩り | 相模湾の温暖な潮風を受けて育った甘い「湯河原みかん」の収穫体験が人気。 |
近年注目を集める「グルメ・カルチャー」
伝統的な温泉街の顔を持つ一方で、近年は「湯河原スイーツ」や「ハイレベルなラーメン」の街としても知名度を上げています。
- 飯田商店:ラーメン界で全国的な聖地とされる超有名店。完全予約制ながら、その味を求めて全国からファンが訪れます。
- ブレッド&サーカス(Bread & Circus):全国のパン好きが並ぶ、ずっしりとしたハード系パンが名前の超人気ベーカリー。
- ちぼり湯河原スイーツファクトリー:贈答用クッキーで有名な「ちぼり」の本社直営店。工場見学やクッキーバイキングが楽しめます。
湯河原へのアクセス
東京から行く場合、JR東海道本線の快速アクティーや特急「踊り子」を利用すれば、約1時間〜1時間15分ほどで到着します。熱海駅の一駅手前という好立地です。
賑やかな観光地もいいけれど、一歩引いた場所で、川のせせらぎを聞きながら美味しいものを食べ、温泉に浸かる。そんな「余白」を楽しむ旅に、湯河原町はこれ以上ない最高のロケーションです。


