呉市:青い海に育まれた「鉄の歴史」と「海軍のロマン」を巡る旅
広島県南西部に位置する呉(くれ)市。瀬戸内海に面したこの街は、かつて日本海軍の本拠地(鎮守府)として栄え、世界最大の戦艦「大和」が建造された「造船の街」として知られています。
現在は、その重厚な歴史と豊かな自然、そして独特の食文化が融合した、極めて魅力的な観光都市となっています。呉の魅力をいくつかのキーワードで紐解いていきましょう。
1. 歴史を体感する:二大ミュージアム
呉の観光を語る上で絶対に外せないのが、港エリアに隣接する2つの博物館です。
- 大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)呉の歴史や造船技術を伝える博物館。館内には、当時の設計図や写真などを元に詳細に再現された10分の1戦艦「大和」が鎮座しており、その圧倒的なスケールに息を呑みます。零戦や人間魚雷「回天」などの実物資料も展示されており、平和の大切さを深く考えさせられる場所です。
- てつのくじら館(海上自衛隊呉史料館)大和ミュージアムの向かいにあり、まず目に飛び込んでくるのが本物の巨大潜水艦「あきしお」。実際に使用されていた潜水艦の内部に入り、操縦席に座ったり、潜望鏡を覗いたりできる日本で唯一の貴重なスポットです。
2. ここでしか見られない絶景:アレイからすこじま
国内で唯一、潜水艦を間近で係留見学できる公園です。
かつて魚雷揚収用として使われていたレトロなクレーン(奇跡的に戦火を免れたもの)や、赤レンガの倉庫群が並び、大正・昭和のレトロな雰囲気が漂います。夕方に訪れると、自衛艦から流れるラッパの音とともに国旗が降ろされる厳かな瞬間に出会えることも。
3. 海を渡る絶景ドライブ:とびしま街道
呉市は本土側だけでなく、瀬戸内海に浮かぶ美しい島々も魅力です。
呉市から7つの橋で結ばれた島々を渡る「安芸灘とびしま街道」は、サイクリストやドライブ好きの聖地。特に「大崎下島(おおさきしもじま)」にある御手洗(みたらい)地区は、江戸時代の港町情緒がそのまま残る「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、まるでタイムスリップしたかのような静かな時間が流れています。
4. 呉に行ったら外せない「ご当地グルメ」
呉のグルメは、海軍の歴史や市民のアイデアから生まれたユニークなものばかりです。
| グルメ名 | 特徴 |
| 呉海自カレー | 海上自衛隊の艦艇ごとに異なる秘伝のレシピを、市内の飲食店で忠実に再現。お店ごとに違った味わいが楽しめます。 |
| 呉冷麺 | 太めの平打ち麺に、甘みと酸味、唐辛子の辛みが絶妙にマッチしたスープ。行列ができる呉のソウルフードです。 |
| フライケーキ | サクサクの生地の中にたっぷりのあんこが入った揚げ万頭。市民のおやつとして長年愛されています。 |
| 細うどん | 海軍や港湾労働者が「素早く食べられるように」と麺を細くしたのが始まり。ダシがよく絡み、優しい味わいです。 |
街を彩るロケ地としての魅力
呉市はその独特な坂道、港の風景、レトロな街並みから、数々の映画やアニメの舞台にもなっています。特に、映画『この世界の片隅に』では、戦時中の呉の暮らしが緻密に描かれ、今でも多くのファンが聖地巡礼に訪れます。
まとめ
造船・海軍の街としての重厚な「鉄の歴史」を持ちながら、穏やかな瀬戸内海の自然と温かい人情に溢れる呉市。歴史好き、ミリタリーファンはもちろん、レトロな街並みやグルメを楽しみたい人にも、忘れられない体験を約束してくれる街です。広島市内からも電車やバスで約30〜40分とアクセス良好なので、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。


