長野県小諸市(こもろし)の水は、雄大な浅間山の自然によって数十年の歳月をかけて育まれた、非常に美しく美味しい水として知られています。
小諸の水の魅力や特徴、そしてその水がもたらす豊かな文化について、記事形式でまとめました。
小諸の水:浅間山が育む「超硬水」と「超軟水」の奇跡
長野県の東部に位置し、浅間山の南麓に広がる小諸市。この街の地下には、浅間山に降り注いだ雨や雪解け水が、数十年の長い時間をかけて火山体の地層でろ過された、極めて清らかな水が流れています。滅菌処理のみで水道水として利用できるほど良質な水質を誇り、古くから人々の暮らしと豊かな食文化を支えてきました。
全国でも珍しい「超硬水」と「超軟水」の共存
小諸の水の最大の特徴は、狭い地域内に「超硬水」と「超軟水」の水源が共存しているという点です。日本の湧き水や地下水は一般的に軟水が多いですが、小諸にはミネラル(カルシウムやマグネシウム)をたっぷりと含んだ硬水も湧き出ています。
- 浅間山寄りの水源(硬水): 地層のミネラルを豊富に吸収した力強い味わい。
- 布引山などの水源(軟水): まろやかで優しく、口当たりの良い味わい。
このように、用途や好みに合わせて全く異なる性質の天然水を楽しめるのが、小諸の水ならではの魅力です。
小諸を代表する名水スポット
市内には、地域の人々に愛され、県外からも水汲みに訪れる人が絶えない名水スポットが点在しています。
- 弁天の清水(べんてんのしみず):旧東山道の宿場町時代から湧き出ている歴史ある水源で、やわらかな「軟水」です。毎分約36リットルという豊富な湧水量を誇り、水神を祀る弁財天神社が隣接しています。コーヒーやお茶を淹れるのに最適で、地域の人々の生活用水としても親しまれています。
- 柏木水源(かしわぎすいげん):浅間山寄りに位置し、小諸市内随一の硬度(約228mg/L)を誇る「超硬水」の水源です。大地のミネラルが凝縮されています。
- 松井の泉(まついのいずみ):松井農園などで知られるエリアの地下水で、全国平均の何倍ものカルシウムやマグネシウムを含む中硬水〜硬水です。健康維持を意識する方にも人気があります。
名水が生み出す小諸の特産品
良質な水は、小諸の特産品を語る上で欠かせない存在です。
- 日本酒:小諸唯一の酒蔵である「大塚酒造」では、この特殊な水環境を活かした酒造りが行われています。近年では、発酵が旺盛になる「超硬水」で仕込んだ力強い味わいの日本酒と、穏やかに発酵する「超軟水」で仕込んだ優しい味わいの日本酒の飲み比べセット(浅間嶽 阿吽)などが開発され、話題を呼びました。
- 小諸そば:昼夜の寒暖差で育った風味豊かな蕎麦の実を、冷たく清らかな水で打ち、そして茹で上げることで、小諸そば特有のコシと喉越しが生まれます。
- 農作物(果物・お米):ミネラル豊富な水と太陽の恵みを受けて育つリンゴや桃などの果物、そしてお米は、非常に味が濃く美味しいと評判です。
水源を未来へつなぐ取り組み
現在、水源を管理する地域住民の高齢化や人口減少により、豊かな湧き水をどう維持・保全していくかが課題となっています。
これに対し、近年では地元の企業や団体が連携して**「小諸の水魅力発信プロジェクト」**を立ち上げました。水源地を巡るガイドツアーの開催や、水守(みずもり:水源を管理する人々)の活動支援、新しい商品開発などを通じて、小諸の水の価値を再発見し、未来へ残していくための持続可能な取り組みが活発に行われています。


